「2025年問題」とは、日本において団塊の世代(1947〜1949年生まれ)がすべて75歳以上の後期高齢者となることに起因する、社会保障・医療・介護・労働・地域社会などにおける諸問題を指します。
この問題は全国的に影響を及ぼしますが、特に地方圏である和歌山県では、不動産取引に対しても以下のような深刻な影響が予想されます。
1. 人口減少と高齢化による需要減
和歌山県はすでに日本国内でも人口減少が進んでいる地域の一つであり、2025年以降はその傾向がさらに加速する見込みです。
これにより、不動産市場には以下のような影響が及びます。
住宅の需要減少:若年層や子育て世代の県外流出により、ファミリー向け住宅の需要が縮小。
空き家の増加:高齢者の死亡・施設入所に伴い、住んでいた家が空き家になるケースが増加。
地価の下落:需要減により売買が成立しにくくなり、地価の下落圧力がかかる。
2. 流動性の低下
和歌山のような地方都市では、すでに不動産の売買が首都圏ほど活発ではありませんが、高齢者が増えることで、さらに流動性が低くなることが予想されます。
「売りたいが買い手がいない」問題:売却を希望しても、購入希望者がいないために取引が成立しにくい。
相続不動産の「負動産」化:相続された不動産が、維持費や税金の負担となり、誰も住まず放置されることが多くなる。
3. 都市部集中化による地域格差の拡大
県内でも和歌山市のような比較的都市機能が集中しているエリアには需要が残る一方、山間部や過疎地域では需要が著しく減少します。
「勝ち組」エリアと「負け組」エリアの二極化:和歌山市や海南市など交通アクセスやインフラの整った地域には一定の需要があるが、山間部や離島では市場がほぼ消失する可能性。
再開発や用途転換の進展:都市部では古い住宅地が再開発され、賃貸や高齢者向け住宅に転用される動きも。
4. 高齢者向け不動産へのシフト
団塊世代の高齢化により、バリアフリー住宅やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のニーズが高まる可能性もあります。
高齢者住宅市場の拡大:単身・夫婦世帯向けの安全・快適な住宅のニーズ。
既存住宅のリフォーム需要:バリアフリー改修や介護対応設備の導入など。
5. 行政・自治体による介入の可能性
問題の深刻化により、自治体が不動産市場に介入する可能性があります。
空き家対策条例の強化:放置された空き家の撤去や再利用を促進。
定住促進政策:Uターン・Iターンを促す補助金制度や移住支援の拡充。
官民連携の再開発プロジェクト:空き地・空き家を活用した地域活性化プロジェクトの推進。
まとめ
和歌山における2025年問題は、不動産取引に大きな構造的変化をもたらす可能性があります。
人口減少と高齢化によって不動産の「売りにくさ」「買われにくさ」が顕在化し、特に過疎地域では不動産の価値が事実上「ゼロ」に近づく事例も増えるでしょう。
一方で、都市部では再開発や高齢者向け住宅への転用といった新たな需要も生まれるため、「選ばれる地域」と「忘れられる地域」の格差が広がっていくと考えられます。